2019年12月4日、SWITCH編集部の地下にあるRainy Day Bookstore&Caféにて、ロックバンド・ACIDMANの大木伸夫による弾き語りライブが開催された。今回のライブはSWITCH Vol.37 No.12に掲載された、BALMUDA The Lanternと共に「音楽」と「光」が織りなす時間について大木に取材した記事と連動したもの。会場には、幸運にもこの貴重なチケットを手に入れた抽選で選ばれた約40名の観客が集まり、一夜限りの特別なライブが始まった。
BALMUDA The Lanternのやさしい光に照らされたステージに登場した大木。「(観客との距離が)自分のキャリアの中で一番近いかもしれない」と笑い、1曲目の「FREE STAR」の演奏を始める。疾走感触れるサビが印象的なこの曲で、観客は大木が生み出す音楽の世界へと誘われていく。その後はボサノバ風のアレンジがなされた「赤橙」「アイソトープ」を披露。続いて演奏されたのは、北野武が作詞し、玉置浩二が作曲をした「嘲笑」のカバー。“星”にまつわる曲を探す中で出会ったというこの曲は“星を見るのが好きだ/夜空を見て 考えるのが/何より楽しい”と歌われ、星が大好きだという大木の思いに重なる。
その後歌われたのは「季節の灯」「世界が終わる夜」「ALMA」の3曲。大木はACIDMANとして20年以上にわたってシーンの第一線で音楽を創出し続けているが、彼が様々な楽曲を通して表現しようとしていることはいくつもあるわけではない。そんなことをこの3曲を聴きながら感じた。この世界には人間には理解しえない神秘的なことが数多く存在する。たとえば、宇宙や星、自然界のこともそうだ。そうした世界において人間の存在はちっぽけで、誰もがいつか必ず死ぬ。そこで絶望するのではなく、自分が生きていることの奇跡を感じながら日々を丁寧に生きていく。その大切さ、かけがえのなさを大木は音楽を通して私たちに教え続けてくれているのだと思う。
ライブの最後に演奏されたのは「Your Song」。会場からは自然とハンドクラップが起き、温かく、親密なライブは幕を閉じた。1時間ほどのわずかな時間ではあったが、集まった観客たちはしっかりと大木の思いを受け止め、それぞれの心の中に柔らかな光を灯し、家路についたはずだ。
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「SWITCH Vol.37 No.12 特集 いい音と暮らす」では大木伸夫インタビュー「光と音楽の心地よい波動」を掲載。併せてお楽しみください。