11月10日(土)-25日(日)、画家・平松麻の展覧会「境に浮かぶ雲」がGallery SU(港区麻布台3-3-23)で開催される。
平松麻は、展覧会での発表を軸に、『きっとあの人は眠っているんだよ』(穂村弘=著、河出書房新社刊)のカバー画や、小誌『Coyote』『MONKEY』の挿画を手がけるなど、様々に活躍。今年9月には、Rainy Day Bookstore & Café で展覧会を開催し、個人所蔵されて普段は見ることのできない1.5m角の「黄色い絵」を特別に展示したり、会期中に会場内で作品の制作をおこなうなど、新鮮な作品群を届けてくれた。
今回は歴史ある洋館風アパートメントの一室にあるギャラリーでの個展となる。印刷物や他の場所での展示では見られない、長い時間を携えた空間とのセッション。絵肌の質感や作品から滲み出す気配に直接触れられる、ここだけの貴重な機会。ぜひ足を運んでいただきたい。
開催に向けて寄せてもらった、本人のコメントをここに掲載する。
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腹中にだだっ広い土の景色がある。絵の泉のような場所だ。そこで気づいた気配を外気で穢さないように、体内からゆっくり取り出して絵にしていく過程を過ごしてきた。ところが、大事に守ってきたつもりの内側に広がる景色が、日常出会う景色となんら変わりがないんじゃないか、とはっとしたことがある。その時、境がなくなり時間も飛んでいった。内外が繋がるとか一体になることの喜びではない。ただそのことに気づいた今があっただけ、ということに感動した。
境のないことに気づく今……ってどんなことなのか…絵を通して興味を巡らせている。そのうち内側の景色も外側の景色も、その間にいる自分も、絵に埋まってゆく。自分にとって生々しい存在が絵の中に集結してパンっとなくなるような気がしたとき、絵がなににもとらわれないものになってゆく。
「境に浮かぶ雲」展は、体内に広がる景色が外と境をなくしていくことを思い描いた作品たちです。そしてその結果、誰にも見られないときの景色は景色のための景色であることをよりいっそう想像しています。
——平松麻
<プロフィール>
平松麻(ひらまつあさ)
1982年生まれ。画家。展覧会での発表を軸に、挿画も手掛ける。パネルや木片やベニヤ板に油絵の具やグアッシュで描画し、やすりをかけながら絵肌をつくっている。
<展覧会情報>
平松麻「境に浮かぶ雲」
期間:2018年11月10日(土)〜11月25日(日) 12:00-19:00
(休廊日: 13日(火)、20日(火)/作家在廊日: 10日(土)、17日(土)、23日(金))
会場:Gallery SU
(〒106-0041 東京都港区麻布台3-3-23 和朗フラット4号館6号室)
問い合わせ:tel.03-6277-6714 fax.03-6277-6716
Gallery SU(ギャラリー エス・ユウ)について
東京都・港区のギャラリー、Gallery SU。画家ロベール・クートラスの作品を中心に、近現代作家の作品を扱う。昭和11年に、上田文三郎の設計で集合住宅として建てられた木造の洋館「和朗フラット4号館」の一室で、展覧会開催期間のみ開廊している。