ユーロマンガ主宰・フレデリック・トゥルモンドさんにバンドデシネと漫画の違いや「海外マンガフェスタ」について聞く全4回のインタビュー!
漫画(バンドデシネ)で読む村上春樹シリーズ第2巻目となる「HARUKI MURAKAMI 9 STORIES かえるくん、東京を救う」が10月20日に刊行され、シリーズはますますの盛り上がりを見せる中、日本におけるバンドデシネ、海外の漫画はこれからどのような発展を遂げるのか。HM9S編集部はそのヒントを探るべく、バンドデシネの本場・フランスで生まれ育ち、現在日本でバンドデシネの出版やイベント活動を行う出版社「ユーロマンガ」主宰のフレデリック・トゥルモンドさんに話を聞きました。
第4回:ノエルにBDを贈ろう!
世界の漫画界がまさにいまターニングポイントにあると感じたHM9S編集部。連載最終回では、クリスマスギフトとしてのBDや、11月23日に開催される「海外マンガフェスタ」について尋ねました。
——フランスではクリスマス、いや、ノエルにプレゼントでバンドデシネは贈るんですか? HM9Sも装丁がとてもギフト向きな気がしています。
フレデリック そうですね。BDはちょっとした良いプレゼントになっていますね。1冊1,500円とか2,000円じゃないですか。これはいくら?
——HM9Sは1,600円です。
フレデリック 子どものころに友だちの誕生日会に誘われ、BDを贈るのが流行りました。多くのBDはハードカバーなので、ちょっとした包装にリボンをつけたら素敵なギフトです。誕生日の子は「ああ、『アステリックス』の最新巻! やったぜ」と喜んでくれる。日本の漫画のフランス語版をプレゼントするフランス人もいますよ。ただBDとは印象がちょっと違いますよね。
——プレゼントにはBDの方がやっぱり格好良いでしょうか。
フレデリック クリスマス前は、出版社がプロモーションに力を入れますね。
——定番のものとかもあるんですか。ノエルのプレゼントにはこれでしょ!というような。
フレデリック 子ども向けのBDで一番有名なのはやはり『アステリックス』。新しい巻が10月19日に出ましたが初版は500万部とか。
——500万部!
フレデリック すべての書店にもちろんあるし、スーパーマーケットでも売っていたり、地下鉄に行くとCMが流れたりしています。『ワンピース』級の成功タイトルですね。
——日本での『アステリックス』の認知度というのは・・・。
フレデリック まったくないです。1974年に最初の3巻まで出たんですけど、聞いた限りでは、今となっては初版を見つけるのは難しいそうです。それ以降、誰も出版しようと試していないですね。僕もいつか日本で出したいという思いはありますが、フランス人としては失敗が許されないタイトルなので、ビビります(笑)。
——フランスでは国民的作品であるのにもかかわらず、日本での認知度がほとんどないとは知りませんでした。
フレデリック 大事な作品ですし、最高に面白いです。ぜひ読んでみてください。
——いつか日本でもムーヴメントが起こることを期待しています。最後にフレデリックさんが実行委員長をされている「海外マンガフェスタ」についてお聞かせください。
フレデリック 今年で6回目です。BDをもっと日本でアピールするためには大きなイベントが必要だと思って立ち上げ担ですが、BDだけのイベントだとあまり目立たないから、アメコミやアジアのコミックも一緒に参加できれば面白いなと思いました。コミックを通して国際交流的な場所になれたら素敵なイベントになるだろうな、と。
去年までは作家のトークライブが中心でしたが、今年からはライブドローイングもします。世界中のアーティストが描く絵の力を来場者の方々に味わっていただきたいと考えています。ぜひ遊びに来てください。
——海外マンガフェスタは11月23日(木・祝)に東京ビッグサイトにて開催されます。編集部も遊びにいきます。フレデリックさん、ありがとうございました。
おわり