7月3日より神戸市・BBプラザ美術館で「ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』とビート・ジェネレーション」展が開催される。
アメリカ・マサチューセッツ州ローウェルに生まれたジャック・ケルアック(1922-1969)は、1947年よりヒッチハイクで代表小説『On the Road(オン・ザ・ロード)』のもととなるアメリカ大陸横断の旅を始める。1957年に出版された同小説は、多くの愛読者と熱狂的な信奉者を生み、文学の枠を超え、映画や音楽などさまざまなカルチャーに多大な影響を与え、今なお多くの人々に愛され続けている。
本展では、ジャック・ケルアックとその周辺のビート・ジェネレーションと呼ばれる作家たちに焦点を当て、ケルアックの全著書の初版本やビート作家たちの旧蔵本、日本のカウンターカルチャー黎明期のミニコミ誌まで、初公開の資料を含む300余点を出品。その魅力へと迫っている。
さらにケルアック エステートとジム・アーセー コレクションの協力のもとに再現した、ジャック・ケルアックがタイプライターで21日間打ち続けて書き上げたといわれる『On the Road』のスクロール原稿(全長約36m)も。
そのほか、同展監修を務める神戸市外国語大学教授のマシュー・セアドーによる連続ギャラリートークやFlying Books店主の山路和広によるギャラリートーク。『オン・ザ・ロード』の訳を手がける翻訳家・青山南、2020年にアレン・ギンズバーグ『吠える その他の詩』を上梓した小誌『MONKEY』編集長・柴田元幸らが登壇するシンポジウム。さらには神戸市・元町映画館で映画「ジャック・ケルアック キング・オブ・ザ・ビート」が上映されるなど、同展に連動したイベントも多数開催予定だ。
第二次世界大戦後の激動するアメリカ社会の中で、人々はビート・ジェネレーションにどのような希望を見出したのか。現代カルチャーのルーツを数多く生み出した一つのターニングポイントを、貴重な資料とジャック・ケルアックというキーパーソンを軸に紐解いてみては。
開催概要
イベント | ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』とビート・ジェネレーション 書物からみるカウンターカルチャーの系譜 |
開催期間 | 2021年7月3日(土)-8月8日(日) 10:00-18:00 ※入館は17:30まで ※7月3日(土)は13:00より開館 |
休館日 | 月曜日 |
会場 | BBプラザ美術館 兵庫県神戸市灘区岩屋中町4丁目2番7号 BBプラザ2F |
入館料 | 一般 500(400)円/大学生以下無料 ※65歳以上の方、障がいのある方とその付添いの方1名は半額 ※( )内は20名以上の団体料金 ※7月7日(水)、8月6日(金)は入館無料 |
主催 | 公立大学法人神戸市外国語大学、BBプラザ美術館 |
監修 |
マシュー・セアドー(神戸市外国語大学 英米学科教授、ジャック・ケルアック研究者) 山路和広(Flying Books 店主、アーキビスト) |
問い合わせ | BBプラザ美術館 Tel.078-802-9286 E-mail.bbp_museum@shimabun.co.jp |
関連イベント詳細
◆ギャラリートークシリーズ「『オン・ザ・ロード』を知ろう!」
第1回 7月3日(土) ケルアックとタイプライター
第2回 7月10日(土) 『オン・ザ・ロード』と映画
第3回 7月24日(土) タイプライターの歴史
第4回 7月31日(土) 女性とタイプライター
第5回 8月7日(土) 『オン・ザ・ロード』の中の女性たち
講師 マシュー・セアドー 時間14:00-15:00(全回)
会場 BBプラザ美術館展示室 参加無料(※要観覧券) 先着15名 通訳付き
※オンラインでも同時配信予定
◆ギャラリートーク『書物でたどる旅、ケルアックと仲間たち』
日程 7月3日(土)15:30-16:30
講師 山路和広
会場 BBプラザ美術館展示室 参加無料(※要観覧券)先着15名
※オンラインでも同時配信予定
◆シンポジウム「ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』への旅」
日程 7月17日(土)13:00-15:00
出演 青山南(作家、翻訳家)、柴田元幸(神戸市外国語大学客員教授、東京大学名誉教授、『MONKEY』編集者、翻訳家)、ヒラリー・ハラデイ(ビート作家研究者、前マサチューセッツ大学アメリカン・スタディーズ・ケルアック・センター所長*ビデオ参加)、マシュー・セアドー
会場 神戸市外国語大学またはオンライン開催 参加無料(事前予約制、先着順)
WEBフォーム
※オンラインでも同時配信予定
◆映画「ジャック・ケルアック キング・オブ・ザ・ビート」ほか
上映期間 7月17日(土)-7月23日(金)
場所 本町映画館(神戸市中央区本町通4-1-12)
料金 一般 1,700円・学生 1,000円・シニア 1,200円
※7月17日(土)に柴田元幸によるトークイベントを上映後に開催予定。詳しくはウェブサイト
ジャック・ケルアック(1922-1969/小説家・詩人)
アメリカ・マサチューセッツ州生まれ。コロンビア大学で、後にビート・ジェネレーションと呼ばれる作家仲間、アレン・ギンズバーグやウィリアム・バロウズらに出会う。主な著書に『地下街の人びと』(1958)、『ザ・ダルマ・バムズ』(1958)、『荒涼天使たち』(1965)、そして短編集『孤独な旅人』(1960)などがある。ボブ・ディランやデヴィッド・ボウイ、ブルース・スプリングスティーンといったミュージシャンやヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュといったロードムービーを語る上では欠かせない映画監督にも影響を与えた。
『On the Road(オン・ザ・ロード)』(1957)
ケルアックの代表作『On the Road』は、語り手 サル・パラダイスの心眼を通して、第二次世界大戦後のアメリカを生きる人々の姿が雄大な風景に彩られながら映し出されている。与えられた人生を人々はどのように生きているのか。サルは、路上で遭遇する人々や出来事の繋がりに想いを巡らせながら、常にホーボー(渡り労働者)のような放浪者たちに魅了される。サルが出会う「いかれた」連中は、自由なモダンジャズに魂を震わせ、夜のローマ花火のように炸裂する。そんな連中を彼は追い求めていく—— 。