「和田誠展」開催。約2,800点の作品から、和田誠の仕事の全貌に迫る

10月9日(土)から新宿区の東京オペラシティ アートギャラリーで「和田誠展」が開催されている。

2019年に逝去したイラストレーター、グラフィックデザイナーの和田誠。「週刊文春」の表紙をはじめ、本の装画やパッケージデザインなど、いまなお私たちは生活の中でその作品に身近に触れることができる。他にも和田誠の仕事は作詞・作曲、映画監督、執筆、アニメーション制作と多岐に渡り、その膨大な作品群はいずれのジャンルでも高い評価を得ている。

この展覧会は、そんな和田誠の仕事の全容を明らかにしようという試みだ。

展示室に入ってすぐに展示されているのは、和田誠の代表的な仕事のひとつでもある似顔絵。壁一面に展示された大迫力の巨大パネルでは、国内外問わず映画、音楽、スポーツ、文化界で活躍した“時の人”を和田誠の似顔絵によって懐かしむことができる。

そして幼少期や学生時代に描いたスケッチなどを交えながら、絵本、レコードジャケット、装丁、パロディ、タイポグラフィなど約30のトピックスに分けられた展示が進んでいく。原画や印刷指示など本人の筆致の残った貴重な資料が、このように大量に一箇所に集められ一般の目に触れるのは、またとない機会だろう。

さらに圧巻なのは、和田誠が40年以上担当した「週刊文春」の表紙約2000号分を一気に見ることができる展示スペース。その膨大な仕事量と長いキャリアに圧倒されると同時に、一つひとつの表紙を眺めていくことで、和田誠のユーモア、幅広い好奇心、豊富な知識、そして温かな人柄まで感じることができるような空間となっている。

展覧会の会期は12月19日(日)まで。全世代が知る国民的イラストレーターの仕事が一挙公開され、「誰もが知っているようで、実は知らなかった」和田誠の仕事に出会うことができる貴重な機会。ぜひ足を運んでほしい。

和田誠】
1936年大阪に生まれる。多摩美術大学図案科(元・グラフィックデザイン学科)を卒業後、広告制作会社ライトパブリシティに入社。1968年に独立。たばこ「ハイライト」のデザインや「週刊文春」の表紙イラストレーション、谷川俊太郎との絵本や星新一、丸谷才一など数多くの作家の挿絵や装丁などで知られる。報知映画賞新人賞、ブルーリボン賞、文藝春秋漫画賞、菊池寛賞、毎日デザイン賞、講談社エッセイ賞など、各分野で数多く受賞している。

開催概要

展覧会 和田誠展
会期/会場時間 2021年10月9日(土)-12月19日(日)*72日間
11:00-19:00(入場は18:30まで)
休館日 月曜日
会場 東京オペラシティ アートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
入場料 一般 1,200[1,000]円/大学・高校生 800[600]円/中学生以下無料
*[ ]内は各種割引料金。障害者手帳をお持ちの方および付添1名は無料。割引の併用および入場料の払い戻しはできません。

ISSUE 和田誠のたね
1,760円(うち税160円)