今年6月1日から2日間にわたり、長野県木祖村こだまの森で初開催されたフェス「FFKT 2019」。前身であるフェス「TAICOCLUB」のDNAを引き継ぎながらも新たなビジョンを示したその「FFKT」を、カウンターカルチャーマガジン『DEAL』の編集長であり、“フェスおじさん”としても知られる菊地崇がレポートする。
PHOTO&TEXT:KIKUCHI TAKASHI
昨年の13回目の開催で終止符を打ったフェス「TAICOCLUB」。日本のみならず、世界からも評価が高かったこのオールナイトのフェスを創設したメンバーが、新たにスタートさせたフェス、それが「FFKT」だ。FFKTとは「the Festival Formerly Known as TAICOCLUB」(=かつてTAICOCLUBと呼ばれたフェスティバル)」を意味する。梅雨前の長野県こだまの森でオールナイトで開催という開催日程も会場も変わらないことから、多くの人が「TAICOCLUB」との共通点と相違点を探っていたように感じた。
「TAICOCLUB」も海外からアーティストを招聘するなどこだわりのあるラインナップだったが、「FFKT」は10年前の創設当時のこだわりを再確認し、さらに深めたという印象だ。Alva NotoやClark、jan and naomi、D.A.N.、WONK、toeなど、ジャンルを飛び越え様々なアーティストが集まっていた。
日本では開催できる場所が少ない野外でのオールナイトイベント。オールナイトだからこそ感じられるパーティー感。これは後期TAICOCLUBには薄れていっていたものだった。野外フェスではなくあくまでもオールナイトパーティー。アンダーグラウンドとオーバーグラウンドのボーダーにいるというスタンス。戻るのではなく、進化を感じさせてくれた。
CORNELIUS などが出演したメインステージの“STEEL”と、カナダ出身のRHYEや日本のバンドがラインナップされたステージ“ONGAKUDO”のふたつだけではなく、今回FFKTで初めて作られた3つ目の“Cabaret”というエリア。集客の目安となる名前ではなく、音楽の可能性でラインナップを決める、そんなFFKTのビジョンを感じられたステージだった。夜が明けてから、音に導かれるようにCabaretにいる時間が長くなった。
TAICOCLUBの10年は日本のみならず世界のフェスの成長の時期に重なる。フェスを構築するオーガナイザーが、自分たちも楽しむためにはどんなフェス(あるいはパーティー)にしたいのか。それが表現されていたのがFFKTと言えるだろう。
新たなフェスのお供“コカレロ”
野外フェスにはビールと考えている人も多いだろうけど、ハコでのライブよりはるかに長い時間になってしまうフェスでは違うアルコールも味わいたくなる。確かに晴れた日中に飲むビールは美味しいのは間違いない。けれど夜、しかも深夜となるとビールよりも、それほど強くないリキュール系の方がマッチしているように思う。
クラブやパーティーなどでここ何年かの間によく目にするようになったコカレロ。コカレロは南米・アンデス山脈で栽培されたコカの葉と、ジュニパーやオレンジピールなど16種類のハーブをブレンドしたお酒(リキュール)。ちょっと甘い口当たりが、ビールに飽きた口にはうってつけだ。
FFKTにもコカレロバーがオープン。コカレロだけではなくバーとしてもいろいろなアルコールがセレクトされ、メインステージ近くのフードエリアということもあって、踊り足りないパーティーピープル達のさらなるエネルギー源として、深い時間まで賑わっていた。
キャンプインだとしても、ライブが早く終わってしまうフェスも少なくない。オールナイトではなくとも、深夜にまで音が鳴っている場には、いろいろなアルコールがセレクトされたバーは必須だ。
商品情報
COCALERO(コカレロ)
コカレロ公式HP