FROM EDITORS「鉄線の胸毛」
相撲をはじめて生で見たのは5歳の時、地方巡業が地元近くで行われ、相撲好きの祖母に連れられていった。お寺の石垣の上の境内に土俵が作られ、ぼくたちは下から見上げていた。 祖母のご贔屓は初代の若乃花だった。いつも相撲がはじまる...
相撲をはじめて生で見たのは5歳の時、地方巡業が地元近くで行われ、相撲好きの祖母に連れられていった。お寺の石垣の上の境内に土俵が作られ、ぼくたちは下から見上げていた。 祖母のご贔屓は初代の若乃花だった。いつも相撲がはじまる...
沖縄に住む写真家垂見健吾さんが最近断捨離をはじめた。東京のデパートで開かれる沖縄物産展でブースを借りて、自分のコレクションを販売するという。電話口で少し嬉しそうに話す垂見さんが少し心配になった。1948年生まれ、まだまだ...
休みを使って押入れの整理をした。1日1箱の整理、分厚いファイルを取り出すと、1枚のハガキがこぼれ落ちた。35年前に送られてきた小松崎茂の絵画のグループ展の案内状だった。小松崎さんは空想科学や冒険物を得意とした漫画家でもあ...
今からもう40年も前の話だ。伊豆の河津に玉峰館という宿があった。今も経営母体は変わって旅館は続けているが、全く別物としてある。趣も全く変わってしまった。昔の玉峰館は個人経営で日本家屋に主の趣味であるバリの家具がほどよく調...
古今亭志ん朝と立川談志の古典落語『芝浜』を聞き比べた。 魚屋の勝は、腕はいいが無類の酒好きで仕事もさぼりがち。よって夫婦は裏長屋に住む貧乏暮らし。女房は、今日こそは天秤棒一本かついで真面目に商いをしてくれと、朝早く叩き起...
ある日、根岸にある香味屋という洋食屋を予約した。ここのハンバーグが絶品で、お腹を空かせて行こうと、根津で降りて谷中へ昼間から通称谷根千に足を運んだ。谷中を歩きながら古今亭志ん朝のことを考えた。スイッチで彼の特集をしたのが...
今から25年前、沢木耕太郎さんと連載の打ち合わせに、三軒茶屋のイタリアンレストランでランチをしたことがあった。「ここの看板メニューだ」と、沢木さんは納豆スパゲッティを注文した。他のテーブルを見渡すと、幾人かの客が納豆スパ...
第1回の黒田征太郎さんに続き1時間のドキュメンタリー番組「SWITCH TV」を企画、現在制作中だ。第2回は写真家操上和美さん。12月、操上さんの生まれ故郷の北海道富良野へ旅をした。雪が降る中、空知川の川辺で焚火をして、...