FROM EDITORS「傷だらけ」
5月の下旬、瀬戸内寂聴さんに久しぶりに電話をかけた。電話の時間は午前11時半、瀬戸内さんのマネージャーからあらかじめ指定された。 「久しぶりですね。元気でしたか? 待っていましたよ」瀬戸内さんの第一声は弾んだ様子だった。...
5月の下旬、瀬戸内寂聴さんに久しぶりに電話をかけた。電話の時間は午前11時半、瀬戸内さんのマネージャーからあらかじめ指定された。 「久しぶりですね。元気でしたか? 待っていましたよ」瀬戸内さんの第一声は弾んだ様子だった。...
5月6日、「山のアルプ美術館」の館長山崎猛さんの訃報を知った夜、2017年の夏山崎さんの元を訪ねた時のことを思い出した。『山のパンセ』で知られる哲学者串田孫一の遺品を丹念に整理して、山崎さんは個人で美術館を運営していた。...
松本隆さんの取材を行ったのが4月6日だった。その日、神戸は晴れていて、青い空に風が桜の花びらを美しく輝かせていた。翌日、松本隆さんのインスタグラムにはこう記されていた。「雑誌switchの取材。新井さんと初めて会ったのは...
ロバート・フランクはフォード車を駆ってアメリカを旅しながらある種の開放感を味わっていた。山岳のスイスに生まれた彼は、長く続く一本道に心を躍らせる。誰もいない。どこでもないところがフランクの想いをその先へその先へと向かわせ...
この3月、J-WAVE「RADIO SWITCH」に引き続きBS朝日で「SWITCH TV」が始まる。不定期のインタビュー番組で、第1回は黒田征太郎さんの特集だ。旅をモチーフに黒田さんとカナダのニューファンドランド島や、...
インタビュー、紀行文、出会った人々、SWITCH・Coyote編集長 新井敏記が一つひとつ綴っていきます。
写真家が被写体をファインダー越しに見つめ涙を流す。その涙が悔しさではなく心からの感動の発露であるならなお素敵なことだ。 蓮井幹生、写真家。1995年にアルバム『DELICIOUS』のジャケットを彼が撮影した縁で、スイッチ...
11月札幌の小さな寿司屋でたった3人の旭川西高校の出身の同窓の集まりがあった。六十代、五十代、そして四十代の気の置けない3人の仲間は旭川西高校の校歌を再開するとすぐに歌った。もともと女子校だったこともあり、少ない男子の結...