2月29日、パリのオペラ地区のPavillon Cambon-CapucinesでCOMME des GARÇONS 2020秋冬コレクションが発表された。
Neo Future
“Is it not impossible to make something completely and utterly new,
since we are all living in this world?”
照明は低く取り付けられ、大理石の床を照らし始めた。ブラームスの交響曲第4番第1楽章が流れ始める。ホ短調の哀切なソナタの旋律が流れる中、ファーストルックとして登場したのは、ピンク色の綿菓子のようなヘッドピース、ガーメントは赤い袖が膝下まで長く垂れ下がり、プリーツのピンクで、黄土色の筒のようになっていて、一つひとつ別のピースをつなぎ合わせたようなドレスだった。モデルはゆったりと歩きながら新しいコレクションを見せている。コレクションは1ルックごとに音楽が変わり、それぞれのガーメントともにゆったりとした時間が流れていく。
テクノがかかり、黒いベールが後ろに垂れ下がり、黒の筒状のようなドレスに白い円状のチュールが胴回りにある。パニエで大きく膨らませたような真っ赤なスカートとともには、黄緑色のトップスが同じように膨らんでおり、シルエットを生み出している。白いチュールとレースのヘッドピースに、胸のあたりが切り取られ、レース、ボア、Fauxレザーと違うマテリアルが三層覗かせている。
黒いレースが長く垂れ下がり、大きな花のようなトップにベルベット生地のプリーツドレス。足元は白いソックスにピンク、赤、黄色のサンダルまたは、Nike Air Forceとのコラボレーションの白または黒のスニーカーも印象に残る。コレクションは全部で20体。コロナウイルスの影響で、いつもとは違う緊迫感もあった。未来はどこへと続いていくのかを訴えかけていると実感する。
また今季のコレクションには、1997年春夏コレクションのBody Meets Dress/ Dress Meets Bodyコレクションのコブドレス、2015年の ‘Rose and Blood’, 2012年の ‘White Dress’のコレクションも彷彿とさせるルックが登場した。
今回のテーマについて川久保玲は、こうコメントした。
「今に生きて、存在していると、全く新しいこと、見たことがない表現、クリエーションを正しく追求することはあり得ないことではと改めて思う。結局は現在の延長に過ぎない。今回はCdGワールドからの続きとして、何が新しいかを探した」
この世界で、全く新しいものを作るは不可能なのか。川久保玲が続けてきたCOMME des GARÇONSの世界から未来へと向かっていくのが見える。