パリオリンピックの種目候補にもなり、近年注目を集めているストリートスポーツ「パルクール」。パルクールアスリート Corky が、アンディ・ウォーホル、 ジャン=ミシェル・バスキア、キース・ヘリングのユニクロ UT を身に纏い、空を駆ける
TEXT:HIRAKI TERUMASA
日本トップクラスのパルクールチーム「URBAN UNION」に所属するCorky。個人としても2016年の世界大会「WFPF Parkour Championships」でのファイナリスト進出など、海外の大会を含め数々の実績を積み上げてきた。「生涯パルクールを続けたい」と語るCorky。弱冠24歳にして日本のパルクール界をリードする彼にこれまでの歩みを訊いた。
16歳、たった1人の海外武者修行
—— 今回ユニクロのUTを着用しての撮影でしたが、普段のご自身のスタイルは?
「パルクールの時はシャツのような動きやすいラフな服、それ以外の時は割とかっちりとしたスタイルを意識しています。いつもモノトーンの服を着ることが多いので、今回着用した中だとキース・ヘリングの黒Tシャツは普段のファッションに近くて好きでしたね」
—— そもそもCorkyさんがパルクールを始めたきっかけは?
「中学一年生の終わり頃、アクロバット教室に通い始めたんです。部活も入ってなくて何かやりたいなと思っていた時に、たまたま近所にその教室があったので。そこで出会った友人がパルクールをやっていて、その流れで自分も興味をもったのが始まりです。アクロバットは得意だったので、最初はパルクールも簡単だろうと思っていましたが、実際に挑戦してみたらものすごく難しい(笑)。できないことが悔しくて、そこから本格的にのめり込みました」
—— そこから現在に至るまで、自身のパルクール人生を振り返ってみてどうですか。
「割とすぐに大会で結果は出せるようになって、お仕事の依頼もいただくようになったんですけど、まだまだ上手くなりたいと思い、16歳の時に1人でデンマークに行ったんです。振り返るとその時がターニングポイントだったなと思います」
—— どういった経緯で一人でデンマークに?
「デンマークはパルクールが盛んで設備も整っている、という噂は周りからよく聞いていたんです。自分は英語もできないし正確な情報も何もなかったんですけど、その噂だけを頼りに1人で行くことを決めました。親に頼んで誓約書を書いてもらって、修学旅行の積立金も回してもらいました(笑)。でも向こうには知り合いもいないし、右も左もわからないので最初の3日ぐらいは野宿でした。ただ、そこからたまたまパルクールをしている人に会えたんです。事情を話したら『クレイジーだ』と言われましたけど、その人の家に泊まらせてもらえることになって。すると偶然にもその人はパルクールの国際チームに所属していて、チームに入らないかと誘われたんです。本当にミラクルな出会いでした」
—— すごい体験ですね。デンマークのパルクールの環境はやはり違いましたか。
「パルクール専用の公園がいくつもあるんです。規模も大きいし、設備も本当に充実しています。無数の鉄棒が張り巡らされていたり、地面がラバーだったり。公園というものに対する社会的意識がとても高いんですね。日本の公園は鉄棒なんかどんどん撤去されてしまうので、その違いはかなり大きいです」
—— デンマークでの武者修行を経て、今自分の強みとなっている部分はありますか。
「バーを掴んで身体を飛ばす動きだったり、そこからトリックに持っていくといった“バー”の技術なら日本では誰にも負けないと思います。デンマークにもそれから何度も訪れているので、鉄棒の経験は他のプレイヤーよりも確実にあると思います」
オールマイティなプレイヤーを夢見て
—— パルクールは様々な技術が組み合わさった、総合的な能力が問われるスポーツだと思います。その中でも一番重要な技術とは何でしょうか。
「技術というより、リスクを常に考えることが大切だと考えています。自分の身体をコントロールできる範囲を把握していないと、大怪我に繋がってしまうので。自分は技を失敗しての怪我というのは、これまでほとんどないですね。パルクールをしている時はリスク回避の方法を一番に考えて動いています」
—— Corkyさんが思い描く理想のパルクールプレイヤーとは?
「目指しているスタイルはオールラウンダーです。パルクールは身体の全てのパーツを扱い、周囲の環境も自由に利用できるスポーツなので、先ほど仰っていたようにトリックの数や幅が無限に広がっていきます。それら全ての技術をトップレベルにもっていくのは非常に難しいですし、多くのプレイヤーは何かひとつの技術に特化したスタイルですが、自分はあくまでオールマイティなプレイヤーになりたい。なんとかそこに近づこうと日々練習しています」
—— 最後に、パルクールの魅力を教えてください。
「世界中どこでも遊び場になる、ということです。パルクールをするのに決められた場所もないですし、必要なのは自分の身ひとつ。いつでも好きな時に始められるのもいいですよね。あと、単純な上手いとか下手では語れない、各プレイヤーの“個性”があるんです。そこも面白いところです。個人的には、その国でしか味わえない雰囲気がある場所でパルクールしている時は本当に幸せです。このまま生涯現役でパルクールを続けていくこと、それが今の夢です」
コレクション概要
ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」では恒例となっている 「アンディ・ウォーホル/ジャン=ミシェル・バスキア/キース・ヘリング UT」がデザインを新たに今年も登場
ポップアート界のレジェンドであるアンディ・ウォーホル、ジャン=ミシェル・バスキア、キース・へリングの3名のアーティストとのコラボレーションUTが6月28日より発売される。アンディ・ウォーホルの「キャンベルのスープ缶」やジャン=ミシェル・バスキアの「頭蓋骨」をはじめとした彼らの代表的なアート作品やフレーズをデザインしたUTが多数登場。さらにUTとしては初となるシューズも展開される。スリッポンタイプのシューズのアッパーに、それぞれの象徴的なアートプリントが施されたデザインとなっている。また、キャップや折り畳み傘、エコバッグ、ハンカチ、食器など豊富なラインナップを揃える。今もなお色褪せないポップアートの名作を様々な形で楽しもう。
UTコレクション|アンディ・ウォーホル / ジャン=ミシェル・バスキア / キース・ヘリング