遠藤励 作品展「MIAGGOORTOQ」~人類ルーツをひもとく北極先住民のいま~

東京・恵比寿のAL Galleryで10月27日(金)より、遠藤励作品展「MIAGGOORTOQ ~人類ルーツをひもとく北極先住民のいま~」が開催される。

©️Endo Tsutomu

遠藤励は1978年長野県大町市生まれの写真家。1990年代よりスノーボードカルチャーを起点に写真家としての活動をはじめ、2007年ごろからは「雪」そのものにインスピレーションを得た創作を行うようになる。やがてその興味は雪とともに生きる「民族」と「地域」へと広がり、2017年には北極圏に生きる先住民族の文化を記録するプロジェクトをスタート。小誌をはじめ、さまざまな媒体での発表を続けている。

同プロジェクトの一環となる今回の企画展は「狩猟民族のいま」をテーマに、北極圏の雪と氷に囲まれた環境の中で力強く生きる狩猟民の現在の生活を伝え、その姿を通して命の根源を考える内容となっている。会場には2018年から約5年間にわたって撮り続けてきた北極先住民の記録から厳選したプリント約15作品を展示する。さらに民具やフィールドレコーディングで採集した現地の音源によって構成したインスタレーションを展開する。

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©️Endo Tsutomu

作品ステートメント

地球の自然、そして天文学的な宇宙のサイクルと直結した「狩猟採集」による暮らし。それは人類誕生から我々が歩んできたであろうルーツの姿である。極北先住民に導かれた現代の狩猟生活の体験から、私は獲物から流れる生々しい血を次第に美しいと感じ始めた。それが本能的なものなのか、彼らの文化への理解からくるものなのかを自問した私は、自分の生活が血を見ない「仕組み」の中で生きていることに気がついていった。本作は原始的な「生物本能」と生活の環境から形成される「概念」との考察である。なお、「MIAGGOORTOQ」とは現地の言葉で犬の遠吠えを意味する。

北極や先住民族の姿をアーカイブとして残すだけではなく、被写体である現地住民と生活を共にしながら信頼関係を築き、その深層心理に触れ、理解し、明らかにする。そんな思いから生まれた遠藤の作品群は、環境の変化によって大きく変化しつつある先住民の文化の今を伝えるとともに、人と自然との共生や経済活動が地球へと及ぼす影響について考えるきっかけを、観る人へと提供する。ぜひ足を運んでもらいたい。

概要 遠藤励 作品展「MIAGGOORTOQ」(ミアゴート)
~人類ルーツをひもとく北極先住民のいま~
日程 2023年10月27日(金)-11月5日(日)
会場 AL Gallery
住所 渋谷区恵比寿南3-7-17
開館時間 12時-19時
物販 オリジナルプリント、図録の販売ほか。
イベント オープニングイベント
10月27日(金)18:00より。「PLANET EAT」と題して「食」をテーマに昆虫食研究家の内山昭一氏とのクロストークや、サノバスミス(新進気鋭のハードサイダー醸造所)の提供を予定しています。

プロフィール
遠藤励(えんどうつとむ)写真家

大衆スポーツとなる以前のスノーボードの黎明期を目撃し、90年代後期から国内および世界のフリースタイルシーンに携わり、国内・北米・欧州のボードカルチャーの専門誌やメディアに作品を提供。また、2007頃より雪にまつわる作品表現に傾倒し、「snow meditation」や「水の記憶」などの雪や氷河の作品シリーズを発表。近年は北極圏への遠征を重ね、ドキュメンタリー撮影を継続。現地で急速に進行する気候変動が及ぼす生態環境への影響、原始的民俗の変遷を記録し、作品化を続けている。長野県・大町市出身・在住。作品集に「inner focus」(小学館)、12月に「MIAGGOORTOQ」をリリース予定。
 
■北極プロジェクト クラウドファンディング
現在、「雪の写真・遠藤励が取り組み続ける北極遠征プロジェクト」のクラウドファンディングが開催中。
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■作品展に関するお問い合わせ先
遠藤励
innerfocus@hotmail.com
Tsutomu Endo Photography
P+ 819087232716