FESTIVAL with THE BUSKER|SUMMER SITUATION

開放的な屋外でお酒を飲みながらライブを楽しむこともフェスの楽しみ方のひとつ。SUMMER SONIC 2024への出演を予定しているSTUTSが語る、音楽とお酒が織りなすフェスの楽しみ方について

PHOTOGRAPHY: SHINTO TAKESHI
TEXT: INO SHIN

INTERVIEW STUTS|ハプニングを楽しむフェス

 ヒップホップのアーティスト/プロデューサーとして活動しているSTUTSは、ライブではMPC/キーボードプレイヤーとしてバンドを率い、これまでに共演、プロデュースしてきたラッパーやシンガーをゲストとしてフィーチャーするかたちで独自のライブスタイルを確立してきた。
 これまでにもバンドセットでさまざまな音楽フェスに出演してきており、今年に入ってからもすでにPOP YOURS、グリーンルームフェスティバルなどに出演。そしてサマーソニックにも2年ぶりの出演が決定している。
 そこで今回のインタビューは、サマーソニックのオフィシャルスポンサーとしてスペシャルブースも出店しているウイスキー「THE BUSKER IRISH WHISKEY」で作ったハイボール=バスカーボールをミュージックバーで飲みながら、音楽とお酒が織りなすフェスの楽しみ方をテーマに話を訊いた。

横の繋がり、縦の繋がり

──まずは、最近のSTUTSさんの音楽活動の話から伺っていけたらと思います。STUTSさんがプロデュースしたスチャダラパー&STUTS「POINTLESS 5 feat. PUNPEE」がリリースされて大きな話題となりましたが、どのような経緯で参加することになったのですか。
STUTS スチャダラパーさんを高校生の頃からずっと聴いてきたファンなので、一緒に楽曲を制作できたのは個人的にとても光栄なことでした。今スチャダラパーさんと作るならこういう感じにしたいと思い描いていたトラックを作ることができたので、思い入れの強いセッションになりました。
 昨年の夏、初めてツーマンという形でライブをご一緒させていただくことになって、その時2曲共演させてもらったりして、そこから曲を作りましょうかという流れになって。最初はどんな曲を作ろうかと悩みましたが、BOSEさん、ANIさん、SHINCOさんといろいろお話ししていくなかで、なんとなくふわっとしたテーマが出てきたので、そのテーマに寄り添うようにトラックも作っていきました。
──一方でKaneeeの楽曲をプロデュースしたり、LEX & LANAの兄妹コラボ楽曲「明るい部屋」をZOT on the WAVEと共同プロデュースしたり、ご自分よりも若い世代のアーティストの楽曲に関わる場面も増えていますね。
STUTS これまで自分からアプローチして誰かと曲を作るケースはあまりなかったというか、今まで一緒に曲を作った人は、ライブの現場で一緒になったりして話していくなかで曲を作る流れになるケースがほとんどだったんですけど、Kaneeeくんは最初僕の方からアプローチしました。もともと「ラップスタア誕生」というオーディション番組で課題曲としてビートを提供させてもらっていたんですが、そのビートでKaneeeくんもラップしてくれて、乗せ方がすごく良い感じだったので、どういう方なんだろうと気になって連絡しました。
「明るい部屋」の場合は、もともと昨年くらいから、ビートメーカー/プロデューサーのZOT on the WAVEさんと一緒にセッションして、いろんなタイプのビートを作っていたんです。そのことを知ったヒップホップフェス「POP YOURS」の運営の方がオファーしてくださって、POP YOURSのオリジナル楽曲としてLEXさんとLANAさんのコラボ楽曲に参加することになりました。
──もともとSTUTSさんは比較的世代の近いラッパーやシンガーをフィーチャーしている横の繋がりのイメージが強かったのですが、ここにきてベテランから若手まで縦の繋がりのプロデュース作品も増えてきている印象があります。その意味では、そうした交流をもとに今後ライブやフェスでもより多様な世代やジャンルを超えたゲストが出演したりしていくのかなと期待が膨らみます。
STUTS そうなったら良いなと思います。特に世代的なことを意識しているわけではなかったのですが、たまたま流れとして一つひとつの曲を作っていたら、結果的にそうなっていた感じです。昔のヒップホップも今のヒップホップも、あとヒップホップに限らず、全部同じ音楽だと思うしどれも大好きなので、今後もいろんなアーティストと一緒に曲を作れたら良いなと思います。

フェスとお酒の楽しみ方

──今回の記事は、フェスとお酒の楽しみ方がテーマなのですが、STUTSさんは普段どんなシチュエーションでお酒を楽しんでいますか。
STUTS 基本的に家でひとりで飲むことが多いです。バーでゆっくり飲んだりすることもありますね。普段行くソウルバーで、レコードでかかる音楽を聴きながら飲むのはすごく楽しいです。たまに友達と一緒にいる時にワイワイ飲んだりもしますね。屋外でバーベキューしながら音楽をかけてお酒を楽しむみたいなシチュエーションも好きですし。
──お酒はどういう種類を飲むことが多いですか。
STUTS 洋酒を飲むことが多くて、ウイスキーやラム、テキーラなどをわりとロックやストレートで飲んだりします。チョコとウイスキーの組み合わせも好きですね。食事の時はハイボールを飲むことが多いです。
──ちなみに、今お飲みいただいているバスカーで作ったハイボール、バスカーボールの味はいかがですか。
STUTS ハイボールの飲みやすい感覚もありながら、フルーティーな甘みを感じるし、香りも華やかで、とても美味しいです。ウイスキーはそれほど詳しくないですけど、アイリッシュウイスキー的な癖も感じながら、その癖が強すぎないから飲みやすいし、バランスが良いなと思いました。
──STUTSさん自身はフェスでお酒を飲むことはありますか。
STUTS 自分が出演した後、いろんなアーティストさんのライブを観るときは基本的にお酒を飲んでいます。フェスで昼間から野外でお酒を飲みながらライブを観られるのは、やっぱりすごく楽しいですよね。
──フェスで楽しむウイスキーとして、バスカーは昨年からサマーソニックでスペシャルブースを出店していて、今年も出店を予定しています。もともと商品名である「バスカー(THE BUSKER)」はストリートアーティストやミュージシャン、大道芸人を意味しているそうで、音楽との親和性をコンセプトのひとつにしていることから、サマーソニックに訪れた観客に上質なウイスキーを提供したいという思いがあるそうです。
STUTS すごく良いと思います。美味しいハイボールなので、ちゃんと美味しいお酒がフェスのシーンで音楽と一緒に楽しめるのは良いことだなと思いました。

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存在感ある緑一色のレイアウトが目を引くSUMMER SONIC 2023での出店ブース。
バスカーを使ったオリジナルカクテルが、今年もサマソニ会場を盛り上げる

忘れられないフェスの思い出

──STUTSさんは今年もフェスに精力的に出演していますが、これまでに参加してきたフェスで印象に残っているエピソードを教えていただけますか。
STUTS 一昨年(2022年)サマソニのビーチステージに出演した時は、ちょうどそのタイミングで楽曲をプロデュースした海外のアーティストも日本に来ていたりして共演できたのが良かったです。プム・ヴィプリット(Phum Viphurit)くんというタイのシンガーソングライターと、ジュリア・ウー(Julia Woo)さんという台湾のシンガーなんですけど、その2人にゲストとして出演してもらえることになって。そこに普段から仲良くさせてもらっている日本人のアーティスト、BIMくんや鈴木真海子さん、SIKK-Oさんも交えて出演できたサマソニは、普段の日本でのライブとも違って、多国籍な感じになったので楽しかったですね。海沿いのビーチステージ、しかも夕方ぐらいの時間帯で雰囲気も良かったし、すごく楽しかったです。
──フェスで観た他のアーティストのライブで印象に残っているものはありますか。
STUTS オーディエンスとしては、昨年(2023年)のサマーソニックで、ケンドリック・ラマーのライブを観た時はやっぱり感動しました。ケンドリックを生で観ることができただけで楽しかったです。普通に声のパワーがすごいし、ちゃんと盛り上げるライブをするんだなと思いました。もちろん聴かせる部分もあるんですけど、普通に観客を煽ったりもするし、ダンサーさんも連れてきたりしていましたし。
──今年5月に出演したグリーンルームフェスティバルではトリオ編成でライブをしていましたね。STUTSさんはPUNPEEさんのステージにもゲスト出演して、フリースタイルを披露する一幕もありましたが。
STUTS いや、自分がまさか、ラップのフリースタイルをするとは思ってなかったですね。出番の1時間前ぐらいにPUNPEEさんから提案してもらって、「じゃあ頑張ろう」みたいな。楽しかったです。
──フェス出演におけるハプニングは、出演する側としては大変な部分もあると思いますが、同時に楽しめる部分でもあると。
STUTS それで言うと印象に残っているのは、僕が初めて出演したフジロックフェスティバル(2021年)です。バンドセットで出たんですけど、その前日にギターの方がコロナに罹って出られなくなってしまったんです。結局ギターなしで、自分と鍵盤、ベース、ドラムという構成で演奏したんですけど、直前でバーっと同期を変えたりとかして、なんとか頑張ったんです。結果、それはそれですごく良いライブになったので、そんなふうにハプニングも込みで良いステージにできた感覚がありました。今となってはそれも思い出深くて、強く印象に残るシーンですね。
──今年2年ぶりにサマソニに出演される予定ですが、意気込みはいかがですか。
STUTS 頑張りたいと思います。2年前のサマソニと同じビーチステージですが、あの時とはまた違う感じのライブを楽しんでいただけたら良いなと思っています。

STUTS
1989年生まれのトラックメーカー、MPCプレイヤー。自身の作品制作やライブと並行して、数多くのプロデュース、コラボレーションやTV・CMへの楽曲提供など活躍の場を広げている。現時点の最新アルバムは2022年発表の『Orbit』

THE BUSKER IRISH WHISKEY
2020年誕生のアイリッシュウイスキーブランド。2023年には日本のアイリッシュウイスキー販売数において1位(IWSR社調べ)を獲得。「大道芸人」を意味する英単語“busker”がブランド名に冠されているように、音楽やカルチャーとの結びつきをキーコンセプトにしている