FROM EDITORS「K2の終り」

ある日、ファックスが編集部に届いた。

「今回の突然の長友啓典の死のことで残念ながら長友、黒田で続けて来たK2の終りなのです。いわばサヨナラK2です。50年近くナンダ、カンダありながら続いていたこと、おかしいですね。その間にK2に参加した皆んなで造ったモノ達はかなりな数になります。いまさらカウント不可能です。

たとえば道楽に近い気持ちで造り、世間に送り続けたカレンダーやPOST CARDあるいは飲食店などのモロモロ、長友も黒田も覚えておりません。昔から長友が「りょうハしつヲ越えるねんで」と笑っていました。

小さなBARのコースターから大きな会社の宣伝物まで面白がって出しおしみナク笑いながらやってきたのがK2スタイルでした。さて、そんなK2のオシマイの遊び事のポスターと本、残念ながらゴールが直前で長友が居なくなりましたが。テンゴクだかジゴクでゴルフしている長友に仕上げを、みせてやりたい。ですよね。

だから黒田は最後の仕上げをあの東京港区六本木の内海ビル4階のK2で行うことに決めました。日、時は近々決めますが、ま、3日〜5日あれば出来るでしょう。手仕事のライブですから。その問に元K2のメンバーで来たい人は来てもらって、出来上がったモノ達、ポスターと本をどうするか?を考えるのもいいかと思っています。

以上 黒田征太郎 2017.03.14」

黒田征太郎、長友啓典、二人は1939年、そして大阪生まれだ。個性も考え方も思想も違う二人は30歳を期に黒田のKと啓典のKをとってK2というデザイン事務所を東京六本木に設立した。1969年のことだった。この春、設立50年を前に「K2スタイル」と長友が銘打ち企画する展覧会が、関西で準備されていた。長友啓典、2017年3月4日死去、享年77だった。

スイッチ編集長 新井敏記