ユニクロのグローバルキャンペーン「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」が7/1より開始

地球の問題に誰もが貢献できるように

7/1より、ユニクロが新たに始めるグローバルサステナブルキャンペーン「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」。今や様々な企業が「サステナブル」や「SDGs」を意識した取り組みを行なっており、その言葉自体は社会の表面的な部分では浸透してきたかのように思える。もちろんユニクロもこれまで「RE.UNIQLO」といった服のリサイクル・リユースプログラムをはじめ、地球環境に配慮した様々な取り組みを既に行ってきているなか、今回の「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」はどういった問題意識から生まれたものなのか、そしてこのプロジェクトが目指すものは何なのか、コーポレート広報部部長であるシェルバ英子氏に話を訊いた。まずこのプロジェクト名にはどのような意味が込められているのか。

「今は社会の様々なところで『SDGs』や『サステナビリティ』といった言葉が取り上げられています。ユニクロとしても『RE.UNIQLO』を中心にサステナブルな取り組みを行ってはいたのですが、もっとお客様たちとサステナビリティの接点となるような、ユニクロならではの取り組みができないか、そういった思いが前々からありました。そこで考えたのがよりお客様にとって分かりやすく、さらに楽しく、地球環境に配慮した活動に参加（＝JOIN）できるような枠組みを作ることです。お客様が環境問題への関心を高める入り口となるような思いを込めて、JOINという名前にしました」

コーポレート広報部部長シェルバ英子
ドラえもんサステナモード ⒸFujiko-Pro

今回「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」というプロジェクトは、「買ってJOIN」「学んでJOIN」という2つのJOINを中心に構成されている。「買ってJOIN」は、キャンペーン期間中（7/1〜）の対象商品の売り上げから100万USドル（約1億3000万円）を日本財団に寄付し、海洋ゴミを減らす活動に役立てる、というものだ。

「この対象商品というのは、生地に再生ポリエステル素材を使用した商品のことです。春夏のシーズンでは、DRY EXシリーズやウィメンズのポケッタブルパーカがそれに該当します。このほかにも、ジーンズの最終加工過程の水使用量を従来から大幅に削減したテクノロジーによって作られたジーンズもキャンペーンの対象となっています」

さらに、今回のキャンペーン限定のアイテムも登場する。昨年ユニクロのグローバルサステナビリティアンバサダーに就任した「ドラえもんサステナモード」を使ったアイテムだ。おなじみの青色ではなく緑色の「ドラえもん　サステナモード」のイラストが入ったTシャツ、ポケッタブルバッグ、さらにぬいぐるみも発売され、どれも100%リサイクルポリエステルを使用している。もちろんこれらのアイテムの売り上げも寄付に繋がっているので、消費者はアイテムを購入することで自然とサステナビリティ活動に参加できる仕組みとなっているのだ。

「学んでJOIN！」では、海洋ゴミ問題を学び、活動するための特設WEBサイトをオープン。錦織圭をはじめとしたユニクロのグローバルブランドアンバサダーらがキャンペーンの参加を呼びかけるメッセージや、LifeWearスペシャルアンバサダーを務める綾瀬はるかがユニクロのサステナビリティ活動を伝える動画コンテンツ、環境問題の専門家たちへのインタビューなど、海洋ゴミ問題を学ぶことができるスペシャルコンテンツが多数公開される。特設WEBサイトはこちら。

「買ってJOIN」と「学んでJOIN」以外にも、さまざまな取り組みが行われる。キャンペーンの開始に先駆け、6/29からはユニクロ原宿店とUNIQLO TOKYOの2店舗には巨大ガチャマシンを設置。マシン横に置かれたペットボトル回収ボックスに使用済みの洗ったペットボトルを持っていくと、ガチャマシンを回せる専用コインがもらえるので、そのコインでガチャが楽しめる。「ドラえもんサステナモード」のぬいぐるみやポケッタブルバック、オリジナルビッグステッカーなどの景品が用意されている。

その他にも「スポGOMI×UNIQLO」を全国の店舗周辺で開催。スポGOMIとはチームに分かれて制限時間内にゴミを拾い、ゴミの量と質でポイントをチームで競い合う、ゴミ拾いをスポーツとして楽しく取り組む活動のことだ。参加者たちが楽しみながら環境問題に意識を向けるきっかけ作りともなるこの活動とのコラボレーションは、実際にシェルバ氏がスポGOMIに参加したことが契機となっている。

「2年ほど前に、たまたま私がボランティアでスポGOMIの活動に参加する機会があったんです。その時にとても面白い取り組みだなと思ったのが、運営しているメンバーたちは、必ず海のゴミがどこから来るのか、という話をするんです。そこで私も気づいたのですが、海では基本的にはゴミは発生しないんです。海のゴミの8割は街から流れ着いたもの。だから彼らはビーチや海岸沿いのゴミ拾いではなく、街のゴミ拾いを中心に活動しています。であれば、ユニクロも全国で展開しているので、協力できるのではないかと思ったんです」

「サステナビリティ」のあり方

「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」ではどれも海洋ゴミ問題とリンクした取り組みとなっている。なぜ、海洋ゴミにフォーカスしたのか。

「今世界中で海洋ゴミが大きな問題になっています。そして、海洋ゴミは市街地の生活ゴミが河川を通じて流れ込んだものが大半と言われており、私たちの生活と繋がった問題だと思います。また、海洋ゴミの多くを占めるのがプラスチックごみです。私たちユニクロは2019年にプラスチック製ショッピングバックを廃止、エコバッグも積極的に商品展開しており、今回のキャンペーンでも販売されるリサイクルポリエステルを使用したアイテムも、元をたどればペットボトルのゴミです。海洋プラスチックゴミと私たちの企業活動は多くの接点をもっているため、お客様にもお伝えしていこうという流れで、今回は海洋ゴミ問題を取り上げています」

さまざまな取り組みを包括した「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」。最後に、ユニクロが「サステナビリティ」の分野で見据えている未来についてシェルバ氏に訊ねてみた。

「これからの時代、今までと同じビジネスモデルを続けていくことはできないと思います。新しいビジネスの形を目指していく中で、コアになるのが『サステナビリティ』だと考えています。環境問題に配慮するという意味ももちろんありますが、我々は事業モデルを変革するひとつのドライバーとしても『サステナビリティ』を捉えています。昨年の12月にユニクロなどを運営するファーストリテイリングの2030年度に向けたサステナビリティ目標を発表しました。30年度までに自社のオフィスや店舗で温室効果ガス排出量を19年度比で90％削減することや、全使用素材の約50％をリサイクル素材など温室効果ガス排出量が非常に低い素材に切り替えるなど、具体的に数値化したものを目標に掲げて、LifeWearを新しい産業としていくアクションをおこなっています。
そうした環境に対する企業の声明や取り組みは、消費者側に伝わりづらい部分もあるのですが、『JOIN: THE POWER OF CLOTHING』では、お客様が参加できるような形式とすることで、ユニクロのサステナビリティに関心を持ってもらおうと思っています。今回は海洋ゴミ問題にフォーカスしましたが、このキャンペーンが今後第二弾、第三弾と展開することができれば、その時は難民問題や気候変動など、取り上げるテーマを変えていくのも面白いのではないかと思っています。このJOINがお客様にとってのサステナビリティの入り口となるような、そういうフレームワークで継続していきたいです」