12月4日(土)より福岡県の田川市美術館で、「起きる、描く、寝る。いきる。」黒田征太郎展が開催中だ。
イラストレーター、画家として国内外で活躍する黒田征太郎。彼が生み出す「絵」は数えきれないほど膨大な量に及ぶ。1994年ニューヨークのとある書店で『戦争童話集』(野坂昭如著)に出合ったことで、「絵でイノチと向き合い、絵で伝えていく」という制作の原動力を得て、その後すぐに「忘れてはイケナイ物語り」プロジェクトをスタート。『戦争童話集』を絵本化・映像化、そしてPIKADONプロジェクトではアートを通して戦争の記憶を次世代に伝え、今もなおその活動は様々な形で広がっている。
田川市美術館の開館30周年を記念した本展は「戦争童話集」を中心に、1970年代から現在までの黒田の活動を「イノチ」というテーマを通して振り返る初の展覧会だ。グラフィックシーンを席巻したK2時代のポスター、「戦争童話集」の挿絵・アニメーション原画やPIKADONプロジェクトのライブペインティング作品、さらには炭鉱から着想を得た作品等が所狭しと並ぶ。
父親が筑豊の炭鉱で働いていたという黒田征太郎のルーツの一つとなるこの地で、その作品群へと触れながら、今改めてイノチについて考えてみてはいかがだろうか。
展覧会詳細
展覧会 | 田川市美術館開館30周年記念 「起きる、描く、寝る。いきる。」黒田征太郎展 |
会期 | 2021年12月4日(土)-2022年1月30日(日) |
開館時間 | 9:30-18:30(入館は閉館の30分前まで) |
会場 | 田川市美術館 〒825-0016 福岡県田川市新町11-56 |
観覧料 | 一般600(500)円 高大生400(300)円 中学生以下無料 ※田川市在住者は、身分証明書を提示すると( )内の料金で入館が可能 ※毎週土曜日は高校生以下無料/身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方及びその介助者1名は無料 |
黒田征太郎プロフィール
1939年 大阪・道頓堀に生まれる。
1945年 疎開先の滋賀県で終戦を迎える。
1955年 高校を1年で退学、船員として米軍の揚陸艦に乗り込み1年半の間にプサン、マニラ、ハイフォン、サイゴンなどを航行。
1967年 北米を放浪。
1968年 野坂昭如と出会う。装画や挿絵を担当していく。
1969年 長友啓典と共にデザイン事務所「K2」を設立。
1992年 ニューヨークにアトリエを構え、国内外で活動する。
1994年 「野坂昭如 戦争童話集~忘れてはイケナイ物語り~」プロジェクト開始。
2004年 PIKADONプロジェクト開始。
2009年 拠点を北九州市門司区に移す。
2019年 田川伊田駅横のトンネル内に山本作兵衛炭坑記録画のオマージュ作品を制作。
現在も絵画、絵本、ライブペインティング等、精力的な制作を続けている。
展示作品例
Painted by Kuroda seitaro
関連書籍
野坂昭如 黒田征太郎
『教えてください。野坂さん』1,320円(税込)
わからない。
絵はがきに一つの疑問をたくし、黒田征太郎は一枚ずつ野坂昭如に投函していった。
ある日、野坂昭如から言葉が返ってきた。
戦後70年の節目の年、改めて野坂昭如が答えたのは、人の暮らし、日本という国の形のありかただった。
これから大人になる君へ贈る、たくさんの不思議。
2015年5月10日刊行