2020年、あらためて自分にとっての音楽の在り方を模索したという佐藤千亜妃。そんな彼女とBang & Olufsenの音に対する姿勢が共鳴し合う理由
STYLING: HATTORI MASATAKA HAIR & MAKE-UP: KYOKO
TEXT: ITAKO JUNICHIRO
聴き手と環境を選ばない音楽を目指して
きのこ帝国のボーカル&ギターとしてデビューし、現在はソロとして活動している佐藤千亜妃。ミュージシャンとして、リスナーとして様々な音楽に触れてきた彼女は今、“良い音とは何か”ということをよく考えていると言う。
「ロックバンドをずっとやってきたということもあり、昔からエッジの効いた音が好きでした。低音と高音が強調された、いわゆるドンシャリな音が好みだったんです。だから、たまにハイレゾ仕様のスピーカーなどでギターロックを聴いたりすると、全体的にまろやかな印象になってしまい、ギターの音が物足りないなと感じることもありました。でも今は全部の音がフラットに聞こえてくるほうがいいのかなと思うようになってきたんです」
そう考えるようになったきっかけは、年々多様化している音楽の聴き方によるところが大きいようだ。
「音楽を届けるにもCD、レコード、ストリーミングなど様々な形式があり、再生環境もヘッドフォンやスピーカーだけでなく、スマホで聴くことも当たり前になってきた。届け方も聴き方も多種多様になってきたからこそ、どんな聴かれ方をしてもすべての音がフラットに鳴り、聴き手の耳が疲れないためにどんなミックスをするかということを、作り手としてすごく考えるようになりました」
そんな彼女は今年、音楽に対しての新たな気づきを得たと話す。
「やはりコロナの影響でこれまでのような活動ができなくなり、多くのミュージシャンが悩んだと思うんです。その中で私は、自分が音楽を通して人に何を与えることができるのか、そもそも自分は何のために音楽をやっているのか、という原点に立ち返ることにした。そこでいろんなことを考えた結果、私は人に何かを届けたいから音楽をやっているんだとあらためて気づいたんです」
そこから佐藤の音楽の聴き方が変わっていった。
「去年までは好きなものを選んで聴いていたのですが、今年はチャート上位のヒット曲やK-POP から新人のアーティストまで、とにかく今多くの人に届いている音楽を聴くことを意識しました。すると、数字では測れない各々のアーティストの個性やオリジナリティが見えてきて、そのことでまた自分も変化していったんです。自分としてはこれが私のスタンダードだと思って作ってきた音楽が時には尖っている、癖があると言われることに長い間悩んでいたのですが、やっぱり表現者の大前提として個性が必要だと思った。派手な個性である必要はなくて、自分が自分である所以、自分の根幹にあるものを見つめ直し、それを磨いていくこと。その上で素直に音楽を作ればいいんだなと心から思えました」
偏見なく様々な音楽に耳を傾けた2020年、佐藤の心に残ったのがゲスの極み乙女。の『ストリーミング、CD、レコード』と君島大空の「火傷に雨」だった。バング&オルフセン(以下、B&O) のフラッグシップ ヘッドフォン「BeoplayH95」でその2作品を試聴すると、佐藤は語り始める。
「このヘッドフォンは音の分離がよく、高音も低音もしっかり輪郭があるように聞こえて、まるですぐ近くでバンドが演奏しているように感じました。個人的にはローファイな音よりもハイファイな音、たとえばクラブミュージックやシティポップ的なサウンドを聴きたいです」
「Beoplay H95」にはマイクが4つ内蔵されており、オンラインミーティングの場面でも快適にコミュニケーションを取ることができるのも特徴だ。
「すごくよく自分の声が聞こえて、まるでレコーディングをしている時のような感覚でした。今年はリモートでラジオ出演することもあったので、そういう時にこのヘッドフォンがあると嬉しいですね」
今回、佐藤には馴染みのヘアメイクやスタイリストと一緒にB&OのポータブルBluetooth スピーカー「Beolit 20」も体験してもらった。
「私のソロ作品はギターロックから打ち込みまでいろんなタイプがあるんですけど、このスピーカーではどんなタイプの曲も違和感なく聞こえてきたのに驚きました。Bluetoothとは思えない音の広がりがあって、仲間とみんなで音楽を聴きたくなる。スマホの充電もできるから、屋内だけでなくキャンプなどにもぴったりな気がします」
B&Oの哲学は、耳にストレスを与えることなく、長く音楽を楽しめる音を作るということ。
「今の私は、より多くの人の耳にフラットに届く音を目指して音楽に向き合っている。そこがB&Oと共鳴する部分なのかなと思います」
SELECTED BY SATO CHIAKI
心地良さが循環する
すべての楽器の音、ひとつひとつのアレンジが気持ちいいし、音の分離もよく、フラットに聞こえてくるので、とにかく心地良いんです。だから音が循環しているように感じ、何度も繰り返し聴きたくなる。長年の友達がこんなすごい作品を作ったことにも驚きました。彼らの最高傑作だと思います。ゲスのアルバムと迷ったのが君島大空くんの「火傷に雨」。彼の音楽にはまったく隙がなく、狂気と美が音の中に同居しているように感じる。天才だと思います