INTERVIEW
こいしゆうか | キャンプの可能性
PHOTOGRAPHY : YAMADA MASASHI
女性がソロキャンプを楽しむようになった昨今、その立役者としてキャンプ界の第一線で活躍してきたキャンプコーディネーターのこいしゆうかに訊く、これからのキャンプの展望
キャンプが教えてくれたこと
キャンプとはもともとは野山に入っていくための“手段”でしたが、今はレジャーとしてその行為自体が“目的”となっています。だから多くの人はキャンプは何か特別なことをやるものだと思いがちですが、何もしなくていいのが一番の魅力だと私は思います。一人でご飯を作って食べて寝るだけ、それって普段なら「ダメな一日を過ごしてしまった」と思いますよね。でもキャンプならそれだけでも達成感と充足感が得られる。物事をとてもシンプルにしてくれるものなんです。
夜になってテントの中で眠りにつく時には、静けさの向こうから様々な音が聞こえてきます。家のベッドで寝る時には味わえない、自然の音に包まれながらそれと一体になるような感覚。こればかりはキャンプをしたことがある人にしか伝わらないかもしれません。
キャンプは誰でもいつからでも始められます。体力もいらないし、失敗しても登山ほど危なくはありません。自然が相手なので当然思い通りにはいかないこともありますが、その失敗すら楽しめるのがキャンプの醍醐味です。
私がキャンプを始めたのは新社会人の頃でした。会社員として息苦しさを感じていた私に、社会のルールなんて人が決めているだけで自然の中では通用しないということを気づかせてくれたのがキャンプでした。結果的に会社を辞めてキャンプとイラストを仕事にした私としては、キャンプの先にある効果は計り知れないと思っています。
ブームの先にあるもの
旅行というと普通は宿と観光地を行き来するだけ終わりですが、キャンプならその土地の自然そのものが遊び場であり目的地となるので、その土地を隈なく味わいながら今まで知らなかった素敵な場所にキャンプは連れて行ってくれます。よく田舎のキャンプ場のスタッフの方が「うちは人気の観光スポットも何も無いので」と口にされるのですが、そんなことはありません。山や自然が豊富であることこそが資産だと気づいてほしいし、地方の穴場のキャンプ場を自ら発見していく楽しさもキャンパーには知ってほしい。道具を集めて満足するだけではなく、その先にある自分だけのキャンプの魅力に一人一人が向き合えれば、一過性のブームで終わることはないと思います。
第二次キャンプブームと呼ばれる今の状況の発端にはインターネットがあります。ネットで道具を買えるようになり、ブログやSNS、YouTubeの登場によってメディアが発信する情報だけでは見えなかった一般人目線の情報が手に入るようになりました。更に野外フェスを入口に始めるケースや道具の選択肢が増えたことも大きいです。そのような様々な要因でキャンプが身近になってきたところに、コロナ禍がそれを後押ししたのだと思います。
とはいえこの盛り上がりは今をピークに、コロナ収束後には一旦落ち着くと思っています。最近ではブームの功罪として人気道具のコピー商品が増えてきたり、モラルに関する多くの問題を孕んでいるのも事実です。しかしブームが去ってもキャンプを入口に他のアウトドアの趣味を見つけたり、地方移住のような新たな暮らしの選択肢を手に入れた人たちにとっては、きっとこの先も変わらずキャンプは人生を豊かにしてくれるものだと思います。
第二次キャンプブームと呼ばれる今の状況の発端にはインターネットがあります。ネットで道具を買えるようになり、ブログやSNS、YouTubeの登場によってメディアが発信する情報だけでは見えなかった一般人目線の情報が手に入るようになりました。更に野外フェスを入口に始めるケースや道具の選択肢が増えたことも大きいです。そのような様々な要因でキャンプが身近になってきたところに、コロナ禍がそれを後押ししたのだと思います。
とはいえこの盛り上がりは今をピークに、コロナ収束後には一旦落ち着くと思っています。最近ではブームの功罪として人気道具のコピー商品が増えてきたり、モラルに関する多くの問題を孕んでいるのも事実です。しかしブームが去ってもキャンプを入口に他のアウトドアの趣味を見つけたり、地方移住のような新たな暮らしの選択肢を手に入れた人たちにとっては、きっとこの先も変わらずキャンプは人生を豊かにしてくれるものだと思います。